第285号:腕時計の溶接修理。

件名 :第285号 :腕時計の溶接修理。
お客様、金属が錆びや腐食により、脆くなっている姿をご覧になられたことはございますか。

スチール系の部品などは錆びることがあり、野外にあるものや、湿気が滞留しやすい場所では、
腐食して、脆くなっている姿をよく目にいたします。

修復には、削って錆止めの塗料を塗る、脆くなっている場合には溶接をして補強するなど、
様々な方法がございますが、状態によりましては、部品の交換が必要です。

命に関わるものもございますので、身の回りで、錆を見かけましたら、お早めに修繕や、
交換などの対応をお願いいたします。

錆が苦手で、見つけるとヤスリを当てたくなる、時計修理工房の近藤でございます。
いつも弊社のメールマガジンをお受け取りくださり、誠にありがとうございます。

本日は、腕時計の溶接修理についてお話しをいたします。

腕時計の金属部分の折れ、剥がれ、千切れなどには、溶接修理を用いる場合がございます。

よくご想像いただくのは、建設現場などで目にするような、火花がバチバチと飛び交う作業ですが、
腕時計の場合は少し異なります。

大きく分けて、ロウ付けと、レーザー溶接があり、それぞれ特徴がございます。

ロウ付けは、腕時計の部品と溶接に使う金属の素材に熱を加えて、接合面に素材を溶かし、
流し込むことで、繋ぎ合わせる方法です。

配線などを取り付ける、ハンダゴテのような作業に近く、熱の管理や、溶かす量の調整が難しく、
熟練の技術者でないと、見た目と強度を両立することができない難しい作業でございます。

この溶接は、文字盤を固定する足が折れて傾いている症状を、改善する際に有効でございますが、
部品に熱が加わるため、文字盤の表面が変色する場合がございます。
※とは申しましても、変色した事例はございません。

また、バックルの2つ折りとなる部分などの比較的広範囲や、リューズの受け側のケースチューブなど、
部品外周に満遍なく固定が必要な場合にロウ付けは効果を発揮します。

レーザー溶接は、その名の通り部品にレーザー光を照射して、素材を溶かし繋ぎ合わせる方法です。

クリーンルームのような環境の、精密機械の中で実施する作業のため、ご覧になれる機会は少なく、
想像がつきにくいかと存じますが、顕微鏡を覗きながら、極小範囲で作業をする特殊な作業でございます。

高速かつ、周囲への熱害が少ないことから、素材の歪みなども最小限に抑えることが可能で、
近年では、レーザー溶接が徐々に普及しています。

ロウ付けと比べ、溶接の範囲が狭く、ピンポイントで実施できるため、ブレスレットのコマや、
バックルの付け根など、狭く、奥まった箇所への実施が可能でございます。

その他、凹んでいる部分に肉盛りをして、修復するような作業にもレーザー溶接を用いますので、
最近では、ロウ付けよりも、こちらのほうが主流になりつつあると申せます。

溶接の修理は、ロウ付け、レーザー溶接ともに、13,000円から、25,000円前後の費用を要します。
また、作業には15日から、最大30日の納期をいただきます。

長くお時計をご愛用いただきますと、コマの破損や、バックルの千切れ、ケースチューブの摩耗、
文字盤の足折れなど症状が発生する場合がございます。

その時には、溶接で修理する方法もございますので、必要に応じてご提案をさせていただきたく存じます。

以上でございます。
最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。

錆や、腐食は、腕時計の気密性を低下させる原因にもなりますので、汗をかいた日や、湿度の高い日、
雨の日などにご使用なさった場合は、しっかりと水分を拭き取っていただき、十分に乾かしてください。

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お客様、季節は3月となり、花粉の飛散が多くなって参りましたので、ご体調を心配しております。
症状が酷いようでしたら、お早めにお医者様への受診をお願いいたします。

時計修理工房 近藤

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