第260号:自動巻きの部品は8点。

件名 :第260号 :自動巻きの部品は8点。
時計修理工房の近藤でございます。
いつもメールマガジンに目を通してくださり、誠にありがとうございます。 
今夜のお便りを差し上げます。

お客様、ハイブリッドカーや電気自動車のブレーキが、すこし強く効く印象はご記憶にございますでしょうか。

全てのモデルではございませんが、自動車が減速する際の運動エネルギーを、モーターを介して電力に変え、
蓄電して再利用する回生ブレーキが搭載されています。

ハイブリッドカー、あるいは電気自動車は、おおむね自動車が減速するときのエネルギーで発電し、
再利用する回生ブレーキが搭載されています。

回生ブレーキが介入しますと、比較的強く制動されるため、「カクン」と効くような感覚がございます。
ガソリン車や、ディーゼル車にお乗りの方は、「踏み始めから、よく効くな」と感じることがあるようです。

さて本日は、腕時計の回生ブレーキと言っても過言ではない、自動巻き機構についてお話しをいたします。

自動巻き(オートマチック)は、腕を動かす、振るなどの動力をゼンマイを巻き上げる力に変換することで、
お時計を動作させる機能でございます。

自動でゼンマイを巻き上げるには、8点ほどの歯車や、地板、受けと呼ぶ部品が必要でございまして、
以下、なるべく簡単にご説明を差し上げます。

まず、腕を動かしますと重力の働きにより、【1】半円形状の自動巻きローター(錘り)が下側に移動します。

この回転運動は【2】伝え車、【3】減速中間車、【4】減速車、【5】伝え中間車、【6】切換車へと、
順番に伝わることで、ゼンマイが収まっている香箱と呼ぶ歯車を回転させ、巻き上げが成立します。

これらの歯車は【7】自動巻き受け、【8】自動巻き伝え受けと呼ぶ、土台となるような部品に並べ、
正確に回転するようにセットいたします。

自動巻きのお時計は、おおよそ上記の歯車類が機械の底面に取り付けられており、腕の動きに反応し、
都度巻き上げをしています。

この機能により、リューズを使用して巻き上げを行わなくても、動作を維持することが可能でございます。

※一般社団法人、日本時計教会さんが、簡易的でわかりやすい解説をなさっているので、ご紹介いたします
https://www.jcwa.or.jp/kids/hatena-13-3.html

※動作が停止している状態から、再使用なさる場合は、手巻きによりゼンマイをある程度巻き上げてから、
ご使用いただくことをお勧めしております。

なぜかと申しますと、ゼンマイはある程度巻き上がっていませんと、本来の性能を発揮することができません。
自動巻きには時間がかかりますので、手巻きで一気に巻き上げてしまった方が効率が良いからです。

先ほどご紹介いたしました、最初と最後の【2】伝え車、【6】切換車は比較的負担がかかる部品で、
他の歯車と比べ、摩耗により交換が必要になる割合が高いです。

またこれらの歯車が1つでも不具合を起こしますと、巻き上げの効率が低下し、動力不足を起こしますので、
ゼンマイの持続時間が短いとお感じになられたり、頻繁に動作が停止するなどの症状が発生いたします。

上記の症状の改善には、部品の交換を伴うオーバーホールが必要でございますが、モデルや、部品により、
料金が異なりますので、弊社では詳しく検査してお見積もりをご案内しております。

今後、【1日中、腕につけているのに動作が停止することがある】、【腕から外すとすぐに停止する】などの、
症状が見受けられた場合は、悪化する前に修理をご検討くださいますようお願い申し上げます。

以上でございます。
最後までご覧いただき、誠にありがとうございます。

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9月下旬にかけて少しずつではございますが、気温が下がるかと存じます。
夜間は、昼間との寒暖差により、肌寒く感じる場合もございます。
お風邪を召されませんようご自愛ください。

時計修理工房 近藤

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