| 件名 : | 第274号 :腕時計における「石数」とは。 |
お客様、つかぬことをお伺い致しますが、近頃、石や段差につまずかれませんでしたか。
ちょっとした段差や、小石につまづいてお怪我をなさったり、痛い思いをされた経験は、
どなたにでもあろうかと存じます。タンスやドアに小指をぶつけますと、泣きそうになりますよね。
単純に運が悪かっただけではなく、「身体を支えきれないほどに体調が優れていなかった」、
「急いでいて足が上がりきっていなかった」など、すこし手前から問題がある場合もございます。
前よりも、躓くことが増えたかもしれない、とお考えになりましたら、
その原因についてお考えいただく機会をいただければ幸いです。
ご挨拶が遅れました、慌てん坊が原因で1週間に1度はつまずく、修理工房の近藤でございます。
いつも弊社のメールマガジンをお受け取りくださり、誠にありがとうございます。
さて本日は、小石にちなみまして、時計に使用されている石についてお話しいたします。
機械式時計のカタログをご覧いただきますと、【石数】という表記がある場合がございます。
【腕時計】と【石】とはどんな関係があるかをご存知でいらっしゃいますでしょうか。
機械式時計のムーブメント(機械)は、【地板(じいた)】を基盤にして、歯車やテンプ(振り子)、
などの垂直な軸のある部品を、【受け】が上から挟みこむような形で固定しています。
地板と受けが軸を支えにして、部品を上下でサンドイッチしているイメージでございます。
軸は上と下で地板や受けに接しながら、回転運動(歯車)や往復運動(テンプ)をしています。
そのため、軸が接する部分には、動きによる磨耗で精度が落ちたり、故障しないようにする配慮が、
必要でございます。
そこで、磨耗や摩擦抵抗の少ない人工ルビーやサファイヤなどが、軸受けとして使用されています。
また、油の皮膜で保護することで、より抵抗を少なくして、正確に歯車等の部品を動かしています。
直接精度に関わるガンギ車やテンプには、軸のまわりに穴の開いた穴石、その上に穴の開いていない、
受石を上下に二つづつ、合計4つ使う場合もございます。
軸以外にも、磨耗しやすいアンクルの爪や、振り石なども人工ルビーやサファイアが使用されます。
最低17石使用されていれば、機能的に問題ないといわれていますが、高級で複雑な機械式時計ほど、
石が多くなる傾向にございます。
たとえば、グランドセイコーのハイビートには37石、ロレックスのサブマリーナには31石、
パテックフィリップのグランドコンプリケーションには108石が使用されています。
機械式時計のカタログをご覧になる場合は、石数にもご注目いただきますと、もっとお時計への関心が深く、
楽しくなるかと存じますので、お勧めいたします。
ときに、近藤は石に躓きますが、ときを刻む腕時計は石で滑らかにして、動作が躓かないようにしております。
以上でございます。
最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。
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12月22日(金曜日)は冬至であり、一年で最も昼の時間が短い日でございます。
夕暮れ時の段差には十分にご注意いただき、年末にお怪我をなさいませんようお願いいたします。
時計修理工房 近藤