お客様、グラスを落とし、割られてしまったご経験はおありでしょうか?
おそらく人生において、いちどは経験なさることと存じますが、その原因は
手を滑らせてしまったり、置き所が悪かったなどでございましょうか。
ガラスや陶器などの硬い素材は、圧縮には強いものの、引っ張りや曲げなどには弱い性質を持ちます。
そのため、一点に強い力が集中したときや、
あるいは微細なヒビが入っていた場合は、比較的割れやすい傾向があります。
お時計の風防やガラスも、当たりどころが悪いと小さな衝撃でもヒビが入りますので、
頭の片隅に置いていただければ幸いです。
先日の日曜日、車を洗車していたら、フロントガラスに飛び石傷を見つけた、修理工房の近藤です。
いつもメルマガをご覧くださり、誠にありがとうございます。
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■本日は、腕時計の風防や、ガラスについてお話しをいたします。
風防とはその名の通り、風による影響をなくすものを指し、
腕時計では「文字盤を覆う透明なカバー」がそれに該当します。
一番の役割は、文字盤や針の保護で、現在用いられる主な素材は
「ミネラルガラス」、「プラスチック」、「サファイアクリスタル」の3種類でございます。
「ミネラルガラス」は、比較的廉価のため、広く使われていますが衝撃に弱く、割れやすいため注意が必要です。
「プラスチック風防」には、アクリルやヘサライト(強化アクリル)が多用され、割れにくいが、傷はつきます。
「サファイアクリスタル」は極めて硬く、傷がつきにくいのが特徴で、強度にも優れますが、
その分、加工が難しく、素材自体も高価のため、比較的に高級時計に使用されています。
風防やガラスは、文字盤や針だけではなく、その下にあるムーブメント(機械)の保護にも重要な部品です。
腕時計の装着時、表面の最も外側となるの風防は、衝撃を受ける機会も多く、水や埃を侵入させやすいため、
たとえ気密性の高いモデルでも、過信しないようにご注意いただきたく存じます。
硬く強度に優れるサファイアクリスタルは、衝撃に強く、風防として理想の素材ですが、
当たりどころが悪いと、粉々に砕け散る性質を持ちます。
プラスチック風防は、ドーム型にすることにより強度を高め、ミネラルガラスは表面硬化処理を施されることも多く、
それぞれ素材に合った形状や、処理を得て、お時計に使用されています。
防水、防塵性を求められることが多い、腕時計の風防やガラスは、ケースにガスケット(パッキン)を取り付け、
上から部品を圧入することで、取り付けられます。
フランクミュラーのトノーカーベックス(モデル名)などの、ケースとガラスが湾曲している構造のモデルでは、
複雑故にガスケットが使用できかねますので、紫外線を当てると硬化する接着剤で固定されています。
接着剤で固定されているガラスは、煮沸することで、軟化させて外すことが可能でございます。
(※劣化により接着剤が痩せて、気密性が低下している場合は、再取り付けが必要となります。)
弊社では、風防、ガラスの交換も承っており、特殊な形状のガラスは、1から作成する別作を用いることで、
交換できる場合もございます。
傷や破損でお困りの場合は、是非一度、お見積もりをさせていただければと存じます。
以上でございます。
最後までご覧くださり、誠にありがとうございました。
【近藤のひとこと】
この度の話題で、サファイアクリスタルに関しては、なんとなく高額ということが伝わったかと存じますが、
実際にどのくらい差があるのかを申し上げます。
一般的な円形のミネラルガラスの交換代金が、8,000円から、12,000円前後に対し、
サファイアクリスタルはその2倍の、16,000円から、24,000円前後となります。
四角などの特殊な形状でございますと、別作と呼ぶ作成作業が必要となり、30,000円から、50,000円前後、
フランクミュラーのような、4方向にカーブしているような形状ですと、50,000円から、80,000円前後と、
非常に高額となります。
オメガスピードマスターに使用されている、円形のサファイアクリスタルで、30,000円から50,000円前後、
ロレックスのデイトジャストに使用されるガラスは、30,000円前後と、モデルや形状によりさまざまです。
世の中にある個数でも価格が変動している気がいたします。
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お客様、ガラスには色がなく、向こう側が透けて見えますけれども、
そこに隔たりがあるからこそ安心して触れられる、というのも事実かと存じます。
ガラス張りのビルに、もしガラスが入っていなかったら途端に足がすくむように、
敢えて隔たりを設けることによってバランスが取れるところは多い気がしました。
他者との距離、組織での立ち振る舞い、それはまさにお客様にとっての風防で、
ただ有って当たり前になりやすいというのは、お時計に通じるお話かと存じます。
時計修理工房 近藤