第151号:ねじ込みと引き出し。

件名 :第151号:ねじ込みと引き出し。
こんばんは、時計修理工房の近藤でございます。
いつもメールマガジンに目を通してくださり、誠にありがとうございます。
今夜のお便りを差し上げます。

お客様、唐突で恐れ入りますが近頃、摩耗したことで性能を発揮できない様子に直面しませんでしたか。

例えば、消しゴムが摩耗していてピンポイントで消しづらいことや、タイヤが摩耗することで、雨の日に、
スリップした、あるいは乗り心地が悪くなっていることも当てはまりますし、靴の底がすり減ることで、
本来の性能を発揮できなくなったなど、さまざまなことが考えられます。

上記の消しゴムやタイヤ、靴などは摩耗を伴う摩擦でその性能を最大限に発揮するものでございます。
その為、摩耗しにくく改善してしまいますと、本来の役割を果たさなくなってしまいます。

しかし、より性能を高める為に、摩擦を大きくすれば摩耗が早まり、使用できる期間が短くなりますので、
その境界線が非常に難しいところでございます…


さて本日は、リューズの摩耗ついてお話をいたします。
リューズは、時刻を操作するツマミあるいは、ボタンで、どのようなお時計にも備わっているかと存じます。
基本的には3時位置に取り付けられている設計が多くございますが、稀に4時位置、9時位置のお時計もございます。
懐中時計などは12時位置にあることが一般的でございますので、想定される使用時の向きによって、
リューズの位置も考えられていることが、見て取れます。

時刻操作を行う際は、必ず使用する部分でございますので、長らくご愛用いただいていますと、摩耗や、
劣化により、固定(ロック/ねじ込み)ができなくなくなりましたり、外れてしまうことがございます。

このような状態になりますと、お時計内部にホコリや、湿気が比較的に入りやすい状態になりますので、
そのままご使用なさいますと、お時計の状態を悪化させてしまい、最悪の場合、動作不良を起こします。

リューズは、大きく分けまして、【ねじ込み式】と、【引き出し式】の2種類に分けることができます。

ねじ込み式は、リューズと受け側のケースチューブがネジになっており、噛み合うことで固定ができます。
高い気密性が求められるダイバーズウォッチなどに採用されていることが多くございます。
モデルによりましては、300m防水以上の性能を発揮しますので、安心してご使用いただけると存じます。
※摩耗しますと、ねじ込みができなくなり、交換が必要になります。

引き出し式は、ケースから出ている、チューブと呼ばれるパイプのような部分にリューズを収めることで、
気密性を確保する構造で、ねじ込み式と比べ、防水性に限界はあります。

100m防水程度であれば、確保できる構造となりますが、外部からの衝撃、負荷による耐久性は、
前者と比べ劣りますので、長らくご愛用いただいていますと外れてしまうなどの、
トラブルに見舞われることがございます。

ねじ込み式の場合は、時刻操作や、ゼンマイの巻き上げを行う度に固定を解除して、再び固定するなどの、
動作が生じますので、長い年月を要しますが徐々に摩耗していき、最終的にねじ込みができなくなります。

しかし、ねじ込む際に負担が少なくなるように【ゆっくり回す】ことを心がけていただきましたり、
最大までねじ込んだ後に【さらにねじ込む/強い力を加える】ことを避けていただけますと、より長く、
現在のリューズを使用することができます。

弊社はリューズの修理につきましても承っておりますので、お困りの場合は是非お問い合わせください。

冒頭でお話しました通り、摩擦による摩耗は性能を発揮するためにはどうしても避けることができません。
しかし、丁寧に取り扱うなどで、負担を減らし、摩耗を抑えることはできると考えます。

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お客様、日差しが大変強く差し込む日々が続いておりますが、お身体の調子を崩されていませんか。
外気温が高くなりますと、倦怠感が生じることもございますので、適度に休息いただきながら、
ご自愛ください。

時計修理工房 近藤

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