第138号:手からスルンと。

件名 :第138号:手からスルンと。
こんばんは、時計修理工房の近藤でございます。
いつもメールマガジンに目を通してくださり、誠にありがとうございます。
今夜のお便りを差し上げます。

お客様、唐突で恐れ入りますが、近頃、大切な物を落としそうになり焦りませんでしたでしょうか。
誰にでも一度は、お品物や、食べ物を落としそうになり、冷や汗を掻いたご経験がお有りと存じます。

そのほとんどが不注意や、不慮の事故と存じますが、少し気を遣うだけで防ぐことが可能になります。

例えば、足元の段差を無くしたり、滑り止めなどを用意することで、物を滑りにくくする為の工夫をする。
また転がらない用に箱に入れるなど、方法は様々と存じます。

こうすることで、無駄な心配を思考から無くすことができますし、冷や汗を掻くこともなくなります。
工夫の方法に正解、不正解はございませんので、思い当たる節がある場合は是非対策をお願い致します。

本日は、衝撃によるお時計の動作不良について、お話しをさせて頂きます。

現在1ヶ月の間に、おおよそ1,000件のお問い合わせや、修理のご相談等のご連絡をいただいております。
多数のご連絡をお寄せくださり、誠にありがとうございます。

その中でも多いご相談が、落下に伴う遅れや進みなどの精度不良、あるいは動作停止の症状でございます。
(特に手巻きや、自動巻きなどの機械式のお時計に多いご相談でございます。)

原因は以下の通りいくつかございますので、この場をお借りし、ご説明致します。

【1】ヒゲゼンマイの絡み、中心ズレ。
【2】機械留めネジの破損。
【3】部品の外れ。

【1】機械式のお時計には、テンプという名前の振り子が備わっており、その中心にはヒゲゼンマイという、
細く、大変デリケートなゼンマイが取り付けられています。(巻き上げるゼンマイとは異なる部品です。)
衝撃により、このヒゲゼンマイが絡まったり、ズレることにより、正確に動作しなくなります。
改善には、部品の修正、場合によりましてはオーバーホールが必要となります。

【2】お時計がコンクリートなどの硬い床に落ちた場合、内部機械にはものすごく大きな力が加わり、
機械内部で使用されているネジが折れる事がございます。
折れたネジは、内部で動き回りどこかのタイミングで歯車の間に挟まり、動作を止めることがございます。
改善には折れたネジを抜く作業と、新たなネジをお取り付けする修理が必要になります。

【3】お時計は大変精密な機械でございますので、歯車の噛み合いなどは絶妙な精度で保たれています。
衝撃が加わることで、部品が外れることもあり、その場合動力が伝わらず、停止することもございます。
改善には、機械を一度分解し、再度組み上げる必要があり、この工程がオーバーホールと遜色無いため、
オーバーホールにて改善をご提案させて頂きます。

以上の3つが主な原因でございます。

衝撃による破損につきましては、ご加入の家財保険や、携行品保険がご使用になれる場合もございますので、
【腕を壁にぶつけてから】【転倒してから】【落としてから】動作が不安定な場合は、一度ご検討ください。

冒頭でお話しいたしました、冷や汗を掻くことを減らす工夫は、物だけでなくお客様のお身体の安全を、
保つためにも重要になると存じますので、物だけでなく視野を広げてお考えくださいませ。

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お客様、ゴールデンウォーク期間の天気はもうお調べになりましたでしょうか。
地域によりましては、雨が降る日もございますので、お出かけなさる場合は雨具をご用意いただき、
濡れてお風邪を引かれませんよう、ご自愛くださいますようお願いします。

時計修理工房 近藤

この記事を書いた人