お客様、近頃、少しずつ取り組んでいる事柄はございますでしょうか。
たとえば、少しずつ積み重ねたお金で、良い時計を買い求めることや、日記をつけてアイデアをまとめたり、
1年前の今日を振り返り、比較するなど、内容はさまざまかと考察します。
継続することは、さまざまな分野において力となりますので、引き続き取り組んでいただきたく存じます。
だいたい人が夢中になってしていることは、本人には自覚がないので、お客様の凄い取り組みも、
あまり心当たりがないかもしれません。
申し遅れました、最近は運動による減量に励んでいる、時計修理工房の近藤でございます。
いつもメールマガジンをお受け取りくださり、誠にありがとうございます。
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■本日は、腕時計の進み方向の誤差について、お話しをいたします。
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腕時計は正確に時を刻むことが前提ですが、技術は進歩をしても、誤差は必ずございます。
モデルや構造、状態によりその許容範囲は異なり、機械式の場合はおおよそ日差±15秒が基準となっています。
その範囲を超えて、誤差が発生する場合は、お時計に何らかの不調が生じている可能性がございます。
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オーバーホール後には、精度の調整を実施いたしますが、基本的には少し進み方向に誤差が発生するように、
設定をしております。
お時計は遠心力や、生活の中での振動、機械油の劣化などにより、遅れ方向の誤差が、発生いたします。
見積もりをお伝えするときにも補足しておりますが、それを加味して、進みに設定しています。(日差+5秒前後が目安です)
そのため、実際の時刻よりも、少しずつ進んでいくとお考えくださいませ。
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しかし、ご使用の中で、突然大幅な進み方向の誤差が発生し、お時計として機能しなくなることがございます。
おおむね、動作の精度を司る、テンプ、ヒゲゼンマイと呼ぶ部品が
衝撃などにより、ズレたり、絡んだりすることが原因です。
一度この症状となりますと、自然に回復することは無く、部品の修理を伴う精度の再調整が必要となります。
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軽度な症状の場合は、テンプやヒゲゼンマイを修正し、調整することで改善をいたしますが、
強い衝撃などにより、部分的な修理ができない状況でございますと、オーバーホールを伴う作業が必要です。
時には、振り子の役割を担う部品の軸が折れていたり、摩耗しているなどにより、大掛かりな修理が、
必要になる場合もございますので、腕時計のご使用中、衝撃には特にご注意いただきたく存じます。
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その他には、電子機器より発生する磁気がお時計に残留することで、進みの症状が発生する場合もあり、
この状況では専用の機械に通して、脱磁を行う必要がございます。
電池式のお時計は、この磁気の影響により動作不良を起こすことが多いため、スピーカーやマグネットなど、
磁場が発生する製品にはご注意くださいますよう、お願い申し上げます。
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どのようなお時計でも誤差が発生する可能性があり、長らくご使用いただきますとその許容範囲が拡大します。
しかし、メンテナンスや修理を行うことで、誤差は小さくすることができますので、精度に支障がある場合は、
是非一度、検査をして、状態をご案内させていただきたく存じます。
以上でございます。
最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。
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【近藤の一言】
この度は、オーバーホール後には精度の調整をして、進み方向の誤差に設定するとお話しいたしました。
しかし、ご使用環境により変化するもので、実際にご使用いただいたら遅れが発生する場合もございます。
その場合は、再度お預かりさせていただき、お客様の腕、ご使用環境に合わせた調整を実施しております。
そのため、我慢はせずご相談いただきたく存じます。