第330号:確認することで。

件名 :第330号 :確認することで。
お客様、唐突で恐れ入りますが、近ごろうっかりして、失敗をなさいませんでしたか。


サイズが異なるものを注文したり、想像していた色と異なっていたり、個数に相違があったりと、
その事柄はさまざまかと存じます。


サイズ違い、色違い、個数の相違など、初めての場合にございますし、慣れていることも、確認を怠りがち。
ただ、やってみなければ分からないことも多くありますから、気を落とされませんようお願いします。


先日より、資料を両面印刷をしたり、白黒で印刷したりと、失敗続きの時計修理工房の近藤でございます。
いつもメールマガジンをご覧くださり、誠にありがとうございます。


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■本日は、リューズの不具合についてお話しをいたします。
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リューズとは、ゼンマイの巻き上げや、時刻やカレンダーの操作を行うためのツマミでございます。
モデルにより異なりますが、おおよそ3時位置についております。




この部品は、大きく分けて「引き出し式」と「ねじ込み式」に分かれており、ネジ込みに関しては、
より機密性を高めることができますので、おおよそ防水性の高いモデルに採用されております。


引き出し式でも、防水性が備わっているモデルがございますが、生活防水程度の性能となりますので、
潜水や水遊びをする際にご使用を控えていただくことをお勧めしております。


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リューズに発生する不具合は、「ねじ込み不良」、「巻真折れ」、「外れ(抜け)」に分類ができます。


ねじ込み不良に関しては、ネジ山が摩耗することで噛み合いが悪くなり、固定できなくなることで、
機密性を高めることができなくなり、湿気や水分がお時計の内部に入り込み易くなる症状です。


ねじ込み式のリューズは内側にバネが搭載されており、ロックを解除すると外側の押し出す構造に、
なっていることが多いため、不良が発生しますと常に飛び出している状態になり、使用感にも影響します。


改善には、リューズもしくは、受け側のケースチューブの交換が必要で、場合によりましては、
ケースチューブをレーザー溶接で固定しなおす必要があり、少々大掛かりな作業になることがございます。


リューズは、10年から15年で摩耗が進行して不良を起こすことがございますので、消耗部品として、
心構えをいただけますと不具合が発生した時に、状況を飲み込み易いと存じます。


また、ネジ込む角度が悪いとネジ山がすぐに摩耗するため、都度確認なさることをお勧めいたします。


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巻真折れにつきましては、湿気の影響で徐々に錆が進行することで脆くなり、折れる症例が一般的です。


内部の機械(ムーブメント)とリューズを1mm前後のとても細い真(軸)で繋いでいる構造のため、
経年的な金属疲労などが蓄積して破断する場合もございます。


腕につけたままゼンマイを巻き上げたり、時刻操作を行いますと、斜め方向から力が加わることで、
破損するリスクが高まりますので、リューズを回す際は必ず腕から外していただきたくお願いいたします。


巻真の破損は、交換が必須となりますが、場合によりましてはリューズに真の一部が折れ残ることがあり、
合わせてリューズから除去する作業が必要になることもございます。


また、リューズがしっかりケース側に収まっていることを確認してご使用いただきますと、湿気の混入により、
錆びるリスクを軽減できると存じます。


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リューズの外れに関しては、ムーブメント内部の部品が外れたり、折れることにより固定ができなくなり、
すっぽり抜けてしまう症状でございます。(主な部品名は、オシドリまたは、裏押さえが該当します)


上記の部品は、巻真を押さえて抜けないように固定する役割も担っており、変形したり、折れることで、
外れる状態となります。


改善には、部品の修理、再固定、場合によりましてはオーバーホールを伴う部品の交換が必要でございます。


こちらも15年ほどで部品が劣化しますので、長くご愛用いただいているお時計の場合、
いつ発生してもおかしくはないと考えます。


リューズを必要以上に強い力で引きますと、オシドリ、裏押さえなどが、巻真を押さえる力を超えてしまい、
抜ける場合もございますので、時刻操作の際にご注意いただきますと、より症状の発生は抑制できます。


また、引く際に引っかかるなどの違和感などがございますと、症状の初期段階の可能性がございます。
時折り確認をお願いいたします。


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弊社では上記のリューズに関する修理も承ることが可能でございますので、
今後発生した場合は、お気軽にお問い合わせくださいますよう、お願い申し上げます。


以上でございます。
最後までご覧くださり、誠にありがとうございました。




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【近藤のひとこと、(Y氏の教え)】


先日お話しさせていただきましたY氏に、メールマガジンの内容が、過去にもお話ししたことと、
被る内容をお話ししていないか、心配になることがあると相談をしたことがございます。


「近藤さん、私が3ヶ月前に言っていたこと、覚えてますか?」


そう言われて、あっ、と思いました。聞けば思い出すかもしれませんが、正確には覚えていない…
Y氏も他のところでメールマガジンを書かれますが、読んでもらえるかどうかよりも、
まず、だいじなお客様に届いているかどうかが重要だとおっしゃります。
そうすれば、思い出していただく機会が増える、とのことです。


以来、わたくし近藤は、すこし気楽に執筆できるようになりました。


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▼弊社の無料郵送パックの申し込みは、以下のURLより承ります。
https://www.w-repair.jp/inquiry/


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お客様、やり直しや、修理で解決できることは多くございますが、
お身体のことは取り返しがつかない場合もございます。
どうか、ご無理は通されませんようにお願いします。




時計修理工房 近藤

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