第66号:暗闇で光るお時計(夜行のお話)

件名 :第66号:暗闇で光るお時計
こんばんは、時計修理工房の近藤でございます。
今夜のお便りを差し上げます。


お客様、現在ご所有なさっているお時計の中で、文字盤や針に夜光が塗られているモデルはございますか?
お時計の夜光は、まだ街灯などの環境整備が整っていない時代に、月明かりだけでは時刻確認ができない、
そのような不便を解決する為に開発が進み、1950年頃から実際に採用され始めたと言われております。


始めは、ラジウムと呼ばれる放射性物質と、自発光する蛍光物質を混ぜることで、半永久的に発光させる、
上記のような試みでございましたが、実際には蛍光物質の劣化により、半永久的に発光することはなく、
製造の過程で人体被害が発生した事例もあり、1960年頃にはラジウムの使用を止めるメーカーも増え、
1967年頃には、懐中時計へのラジウムの使用が禁止され、腕時計への使用量も厳しく制限されました。


上記のように、ラジウムの人体被害報告を受けて、多くのメーカーはラジウムの使用を止めてきました。
しかし、研究は続き次に採用され始めたのが、トリチウムという放射性物質を使用した塗料でございます。
トリチウムは半減期が約12年と短い上、放射エネルギーも弱く、放射性物質の中では危険の少ない種類で、
そのエネルギーは紙一枚で防げる程度のものと言われており、危険性の少なさから多く普及いたしました。
(トリチウムを使用した夜光は、2000年頃まで採用されていました。)


1993年に根本特殊科学株式会社より、【N夜光ルミノーバ】と呼ばれる畜光性塗料が開発されたため、
現在では、ほとんどのメーカーがこのルミノバ塗料に切り替えて、お時計の夜光に採用されています。


しかし、トリチウム夜光に魅了されているお時計好きのお客様も多く、メーカーでメンテナンスする場合、
文字盤と針の交換必須となり、夜光がトリチウムから、ルミノバ塗料に変わってしまうという理由から、
メーカーではメンテナンスを希望なさらず、弊社にメンテナンスをお任せいただいた事も多くございます。


ルミノバ塗料という畜光性塗料は、放射性物質を使わず安全性が高い反面、長時間の発光が不可能という、
欠点も持ち合わせておりますが、街灯やライトが普及した現代では不便に感じることは少ないと存じます。


最近では、ロレックスが独自で開発したクロマライトと呼ばれる夜光塗料もあり、発光時間は約8時間と、
ルミノバ塗料の約2倍の発光時間を誇りますが現在はまだ一部のモデルにしか採用されていないようです。


以上、夜光塗料のご紹介でございました。


弊社では針の夜光の塗り直し修理も承っておりますので、現在針の夜光が劣化してひび割れていましたり、
光量が落ちてきているなどの不具合がございましたら、是非お任せ頂きたく存じます。




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12月は行事がたくさんあり、普段に増してお忙しくなると存じますが、
どうかご無理をなさいませんよう、お願い申し上げます。
お身体につきましてもご自愛の程お願いします。


時計修理工房 近藤

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