第178号:点検に始まり、点検に終わる。

件名 :第178号:点検に始まり、点検に終わる。
こんばんは、時計修理工房の近藤でございます。
いつもメールマガジンに目を通してくださり、誠にありがとうございます。
今夜のお便りを差し上げます。


お客様、唐突で恐れ入りますが、オーバーホールで行う実際の工程はご存知でしょうか。

機械に携わるお仕事をなさいましたり、ご趣味をお楽しみの場合は耳にしたことがあるかと存じますが、
日頃から聴き馴染みのある方は、比較的少ないのではないかと考えます。

オーバーホールは、簡単に説明しますと、【その物の徹底的な検査と、メンテナンス】でございます。

常日頃からお手入れをできるものでしたら、オーバーホールは必要ございませんが、総分解しなければ、
内部の状況が確認できない構造物などは、こちらが必要になることがございます。

身の回りでございますと、お時計はもちろん、自動車や、オートバイ、カメラ、釣り用のリールなどが、
挙げられます。

車のエンジンを下ろして、分解し、組み立てる工程もオーバーホール。
現代の車では、あまり話題になりませんが、数十万キロごとに実施して調子を保つオーナーさんもいらっしゃいます。
(しかし実際には、その距離に達する前に売却なさる方がほとんどです。)

お客様はお時計以外のオーバーホールのご経験はございますでしょうか。


さて本日は、冒頭のお話が続きまして、お時計のオーバーホールの工程をご紹介いたします。

お時計のオーバーホールは点検に始まり、点検に終わります。

まずは裏蓋を開封して、ケース(本体)より機械、文字盤、針などを一式取り外し、別々に保管します。
機械を動作させながら、歯車の動き、動作の精度(遅れ、進み)、部品の摩耗などを点検していきます。

その他、ケース、裏蓋の歪み、ガラスやベゼル周りや、リューズ、プッシュボタン、裏蓋のパッキン等、
気密性を高める部品の確認を行い、空気圧にて防水性が効いているかの簡易検査を行います。

検査を行いますと、必要な交換部品や作業が明確になりますので、お見積もりとしてご案内いたします。
お客様からご了承いただきますと、いよいよオーバーホールの工程に入ります。

まずは、機械を分解できる限りのところまで総分解し、洗浄を行うことで、機械油や汚れを除去します。
洗浄後は、一通り部品の検査を行い、磁気が滞留している場合は、1つ1つ丁寧に脱磁をいたします。

次に、組み上げの工程に移り、交換が必要な部品がある場合は、こちらの工程で交換いたします。
力が加わる箇所、高速に動作する歯車など、部分ごとに分けて、必要な機械油を差し加えていきます。

一通り組み上がりますと、動作の点検を行い、精度を微調整し、規定の数値内に収まるようにします。
お時計の動作は、部品の組み上げ方、油の量や差し方などにより、遅れや進みの度合いが変化します。

その為、検査で規定の精度が出なければ何度でも分解、洗浄、組み上げ、調整の作業を繰り返します。
オーバーホールの工程で一番時間を要するのは、この動作の調整作業とご理解を頂ければ幸いです
(平均して1週間〜2週間前後のお時間をいただきます。)

問題ないことを確認しますと、文字盤、針を点検し、ケーシング(本体に機械を戻す作業)に移ります。
ケースに機械が戻り、お時計としての形が戻ったところで、もう一度動作の点検を行います。
(機械を本体に戻すと、動作の精度が微妙に変わる場合があるためです。)

全ての工程が完了しますと、裏蓋を閉めて、防水性の検査を実施し、工房から窓口に移動させます。
窓口でも1日〜2日、動作に問題がないか確かめた上で、オーバーホール完了のご報告をいたします。

オーバーホール後は、1年間の動作保証をいたしておりますので、動作に不具合が発生した場合には、
再度お預かりすることとなりますが、誠実なご対応をお約束いたします。

以上でございます。
最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。


冒頭でお話しした通り、機械が関わるものにはメンテナンスや、オーバーホールがつきものです。
良いお品を、より長くご使用いただくためにも、定期的な点検や、必要に応じた修理を実施し、
お客様のご生活を、より豊かにしていただけますと幸いです。


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まだまだ厳しい寒さが続く日々でございますので、お出かけをなさる時には暖かくしていただき、
お身体が冷えませんよう、ご自愛くださいますよう、お願いいたします。

時計修理工房 近藤

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