お客様、近ごろ聞き覚えのある音に、耳を傾けられましたか。
街中で聞こえてくるメロディや、コマーシャルで流れる楽曲、ほかにはご趣味でゆかりのある音など、
それぞれ、耳および聴覚が反応する音は異なるかと存じます。
心地の良いものも、不快に感じる音もあり、味覚と同じように好みが別れ、人それぞれと考えます。
聞く力は、感性の1つでございますので、お身体と共に大切にしていただきたく存じます。
スポーツカーの音が聴こえると、だいたい車名を想像できる、時計修理工房の近藤でございます。
いつもメールマガジンをお受け取りくださり、誠にありがとうございます。
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■本日は、機械式の腕時計の中から発生する音について、お話しをいたします。
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腕時計の機械は多くの部品で構成されておりますが、クロノグラフのような複雑な機構となりますと、
モデルによりましては、部品点数が300個を超えることもあり、圧巻です。
部品のほとんどは金属で作られますので、ゼンマイを巻き上げる際は「シャリシャリ」という擦れる音、
自動巻きローターが回転する時は、「シャカシャカ」と回る音が確認できるかと存じます。
また時を刻む際には、「チッチッチッ」と一定のリズムで軽快な音が聞こえてくるのではないでしょうか。
機械の特性や、構造により、音の高さや、大きさは機械の様々でございます。
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しかし、内部の機械油のコンディションが悪くなりますと、動作に負荷がかかり、
自動巻きローターの回転が鈍く、重いような「ゴロゴロ」という音に変化することがございます。
また、部品が摩耗していたり、外れていますと、周囲の部品に擦れることで「カチカチ」というような、
打音に変化することもありますので、聞き慣れない場合は、軽度の段階で点検をおすすめいたします。
そのほか、リューズでゼンマイを巻き上げた際に「カシャッ」と何かが解けるような音が聞こえたり、
時刻合わせの際に「ガリガリ」という音と、感触がある場合は、歯車の外れや破損が考えられます。
そのままご使用いただきますと、破損した部品がそのほかの部分に入り込み、二次被害となることで、
症状が悪化することもございますので、不調にお感じの場合は、ご使用を控えていただきたく存じます。
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機械式時計の部品一つひとつをスムーズに回転させたり、動かすのには、機械油のコンディションが、
良い状態であることが不可欠でございます。
そのため、弊社では4年から5年に一度スパンで、メンテナンスのオーバーホールを推奨しております。
定期的なオーバーホールは部品の保護に貢献することで、大きなトラブルを未然に防ぐことができます。
結果、お時計の寿命を伸ばすことができ、より長くお時計をお楽しみいただけると存じます。
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オーバーホール工程は、機械の部品を全て分解し、洗浄した後に、部品1つひとつを点検いたします。
その後、新たな機械油を注しながら組み上げ、機械を調整する作業でございます。
この際、交換が必要な部品は交換し、外装の洗浄やパッキン交換、防水検査なども合わせて行い、
引き続き、安心してご使用いただけるように仕上げます。
現在、電池交換は1週間前後、オーバーホールのお見積もりには2週間前後のお時間をいただいており、
オーバーホールの作業は5週間前後の納期を頂戴します。
新たな年を迎える前にメンテナンスをご希望の場合は、お早めにお問い合わせいただけますと幸いです。
何卒、宜しくお願いいたします。
以上でございます。
最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。
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【近藤の一言】
お時計で一番音を発生させる部分は、自動巻きのローターと存じます。
その中でも、マイクロローターと呼ぶ構造の場合は、比較的、大きな音が聞こえてまいります。
このマイクロローターに関しては、より小さなスペースに自動巻き機構を搭載するための構造で、
回転する錘、自体は小さいのですが、厚みがあるため、「ザリザリ」というような音を発します。
パテックフィリップや、ランゲアンドゾーネなどの最高峰のお時計に搭載されていることが多く、
お目にかかることも少ないため、その音を聞く機会は少ないです。
お店でご覧いただく機会がございましたら、是非一度、聴いていただきたい音でございます。
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お時計の楽しみもお客様のご健康あってこそ。心への注油も、5日に1回の頻度でお願いいたします。
時計修理工房 近藤