| 件名 : | 第385号:10時10分。 |
お客様、唐突で恐れ入りますが、10時10分と聞きますと、何を思い浮かべられますでしょうか。 10時10分といえば、ハンドルの握り方でございますね。 自動車のハンドルは、一般的には左右対象に設計されており、10時10分の位置では握りやすくなっています。 これには、操作がしやすい、操作可動域が広い、身体のバランスが崩れにくいなどのメリットがあるようです。 先週は話題にいたしました「車検」のあと、ハンドルのセンターが僅かにズレていたため、 調整をお願いした修理工房の近藤でございます。 = ■本日は、腕時計の10時10分についてお話しをいたします。 腕時計の広告や、ホームページなどを拝見しますと、ほぼ10時10分前後を指した画像が使われています。 こちらには、「視覚心理」「ブランド設計」「写真構図」「歴史的経緯」など、さまざまな意図があるようです。 【1】視覚心理。 10時10分前後では、時針と分針が左右対象に近い角度で開きます。 この時の角度は、およそ115度から、120度前後で、 ひとは左右のバランス、上方向への開きに、ポジティブな印象を抱きやすい傾向があるようです。 この配置は、針が笑っている(笑顔)にも見える角度で、無意識に好印象を与える構図とされています。 逆に8時20分では、針は下向きに開き、困り顔のように見え、心理的な印象ではネガティブになります。 【2】ブランドロゴを隠さない配置。 ほとんどの腕時計のブランドロゴは、12時位置にあり、針の位置が10時10分前後にありますと、 ロゴを囲むように配置されますので、視覚を自然に中央上部に向けることができます。 例えば、ロレックスや、オメガ、セイコーなどは、いずれもゴロの位置が中央にございます。 もしも3時や9時を指していれば、ロゴは重なり、6時付近なら文字盤が伸びて見えるため、 10時10分は、ロゴを隠さず、むしろ強調することができる、黄金配置ではないかと存じます。 【3】インダイヤルや日付窓を邪魔しない。 クロノグラフなどの機能が備わったお時計の場合、3時、6時、9時位置に小さなサブダイヤルが配置されます。 10時10分はそれらを避ける位置となります。 特に3時位置にはカレンダーの窓が配置されることが多いため、針が重なりますと商品写真としては致命的です。 広告などでは機能を全部見せる必要があるため、10時10分はそれを可能にする位置なのではないかと存じます。 【4】歴史的経緯。 1920年前後の広告を見ますと、必ずしも10時10分というわけではありません。 しかし、1950年以降には、主要ブランドがこの構図を採用し始めました。 特に高級時計市場を牽引したロレックスや、パテックフィリップが洗練された広告ビジュアルを展開し、 業界全体がそれをならう形で定着しました。 つまり、最初から決まりだったわけではなく、市場競争の中で、最適化されていった結果と存じます。 【5】微妙な差。 実は全てのお時計が、10時10分ではなく、9分や、11分に設定されていることがございます。 秒針の位置とのバランスや、ブランドロゴとの微調整、ベゼル数字との整合など、細部まで計算されています。 針は経年的な劣化や、衝撃などにより緩みが発生することがあり、場合によりましてはズレることがございます。 センターが合わないのは、心理的な負担が大きいため、ズレている場合は修理をご検討ください。 弊社では、針の緩み、外れなどの修理も承りますので、お困りの際は、お気軽にお声がけくださいませ。 以上でございます。 最後までご覧くださり、誠にありがとうございました。 【近藤のひとこと】 国内新品のお時計を2割引で販売する取り組みに関しては、これまで16件のお問い合わせをいただき、 随時在庫の確認と、ご提案をさせていただいております。誠にありがとうございます。 価格が高騰する腕時計ではございますが、少しでも手にして頂きやすい価格でご案内できますと幸いです。 もし現在、ご購入を検討なさっているお時計があれば、以下のフォームからお知らせいただけますと幸いです。 正式な型番をご存知でなくても、このブランドの、こういう色、形のもの、というご要望にも応じます。 これまでお納めさせていただいたお時計は以下の通りでございます。 ・IWC [ IWC358312 ] http://bit.ly/4apw6Qp( Google 検索 ) ・パネライ [ PAM01087 ] https://bit.ly/4rhphGw( Google 検索 ) ・SEIKO [ SDKV007 ] https://bit.ly/4kxm3fv ( Google 検索 ) ▼弊社の無料郵送パックの申し込みは、以下のURLより承ります。 ▼過去のメールマガジンはこちらでご覧いただけます。 10時10分は、とくべつな時間でございます。しかし分の価値、秒の価値は ほんらい等しいはず…そこに意味、物語を見出してしまうのが、人生の面白いところです。 お客様の1分1秒、それぞれが常に特別であるということを私たちは存じております。 今日も明日も、素敵な時間をお過ごしください。 時計修理工房 近藤
