第386号:腕時計の裏側。

件名 :第386号:腕時計の裏側。

お客様、日頃のお仕事や家事のなかで、微調整や修正をなさる回数は多くございますか?
資料を何度も手直ししたり、製品を繰り返し磨いたり、プライベートではトレーニングを重ねるほか、
食事を少しずつ改善するなど、それぞれ取り組まれていることがあろうかと存じます。
こうした日々の見直しや積み重ねは、すぐに目に見える成果として表れるものではないかもしれません。
しかし、その繰り返しこそが強みや信頼になっていくのも、また事実かと存じます。
週に1度、手直しをしながら、メールマガジンをお届けすることで、自身の学びも得る修理工房の近藤でございます。
いつもお受け取りくださるお客様には、貴重な機会をいただけていることに感謝しております。

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■本日は、時計修理の裏側のお話しをさせていただきます。

機械式の腕時計は、精度調整(または、精度調速、歩度調整)という作業を行う必要がございます。
この作業は、お時計が正確に動作するために欠かせない作業であり、最も重要とも申せます。
手順としましては、タイムグラファーと呼ぶ専用の機械を使用して、現在の動作を測定、分析します。
そうして現在の精度(誤差)を確かめながら、ムーブメント(時計)の微調整を繰り返し行います。
腕時計にはテンプと呼ぶ、振り子の役割を担う部品が取り付けられており、
この部品の動く速度を調整することで、遅れ方向や、進み方向の精度を定めます。

動く速度は、ヒゲゼンマイと呼ぶ部品の長さを変更することで、調整できるようになっています。
短くすることで振り子の往復運動が早くなるので「進み方向」、長くすると「遅れ方向」に精度を変更できます。
一般的に自動巻きなどの機械式時計に関しては、一日の誤差が±15秒前後が許容範囲となっていますので、
この範囲に収まるように調整を重ねてまいりますが、高級時計になりますさらに良い精度(誤差)が求められます。
内部の機械油が劣化したり、減少することで、おおよそ遅れ方向の誤差が発生するため、精度を調整する時は、
少しだけ進み方向の誤差が出るようにしておくのが普通です。
一日の誤差が少ないに越したことはございませんが、誤差ゼロに近づけるほど、遅れが発生しやすいので、
ある程度の許容を設けた設定にしておくことが無難です。
日差(一日の誤差)が全てではなく、振り子の動く角度(振り角)や、振れる左右の誤差に関しても重要で、
技術者がよくいう「調子が良い」というのは、振り子が深い角度で振れていることを申します。
少しお話しが戻りまして、ヒゲゼンマイの長さ調整に関しては、振り子に取り付けられたレギュレーターで行います。

ムーブメント(機械)を固定して、0.1mm以下のレベルで微調整を繰り返します。
僅かな調整でも、5秒から10秒ほど精度が変わることがあり、変更しては再度測定、これを繰り返し行うことで、
お時計としての機能が徐々に正確なものとなります。
あくまで機械上の数値を見ながらの調整のため、腕に付けると誤差が大きくなる場合もございますが、
そのような場合は、お客様のご使用状況などをお伺いしながら、手直しをさせていただくようにしております。
現在、動作の誤差が大きいとお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。
以上でございます。
最後までご覧くださり、誠にありがとうございました。


【近藤のひとこと】
先週、話題にしました「10時10分といえば、ハンドルの握り方」でございますが、
その業界にお詳しいお客様より、現在は9時15分がスタンダードですと教わりました。
思い返してみれば、10時10分と教わったものの、ハンドルの一番握りやすいところは、
確かに9時15分で、普段からこの位置を握って運転していることを思い出し、納得しました。
昔のハンドルデザインを検索したところ、10時10分が一番握りやすそうなデザインをしていましたので、
時代的背景や、安全性、デザイン、パワーステアリングの進化などさまざまな理由があるのでしょう。
とても勉強になりました。
誠にありがとうございます。

▼国内新品のお時計を2割引で販売する取り組み。
これまで16件のお問い合わせをいただき、
随時在庫の確認と、ご提案をさせていただいております。誠にありがとうございます。
もし現在、ご購入を検討なさっているお時計があれば、以下のフォームからお知らせいただけますと幸いです。
正式な型番をご存知でなくても、このブランドの、こういう色、形のもの、というご要望にも応じます。

これまでお納めさせていただいたお時計は以下の通りでございます。
・IWC [ IWC358312 ] http://bit.ly/4apw6Qp( Google 検索 )
・パネライ [ PAM01087 ] https://bit.ly/4rhphGw( Google 検索 )
・SEIKO [ SDKV007 ] https://bit.ly/4kxm3fv ( Google 検索 )

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早いうちに8割くらいを作り込んで、そこから2割を微調整。
仕事ができる人から多く伺うパターンに、わたくし近藤は憧れております。
ふと思いましたが、8割の段階では完璧ではない…むしろ失敗かもしれなくて、
そのあとの2割で結果を出せば良いと思うと、すこし気が楽になる気がします。
すべては微調整で締める。私たち修理工房は、今後も引き続き精度の高い仕事を通じて、
お客様のお手伝いをさせていただきます。宜しくお願いいたします。

時計修理工房 近藤

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