第397号:夜光塗料の変化。

件名 :第397号:夜光塗料の変化。

お客様、身近なところに塗料の剥がれや、色褪せはございませんか?

いつもの通り道にある建物や、長年ご愛用いただいているお持ち物など、
時間の経過とともに、状態やお色味が変化していくものがございます。
これをただ、劣化と見なすこともできますが、長い時間が経過したことで得られる、
風合いとと捉えることもでき、お持ち物の愛着、建物などの価値が評価されることもございます。
先日のゴールデンウィークに、久しぶりに訪れた土地の建物などが大きく変化しており、
積み重ねた時間の厚みを感じた修理工房の近藤より、今夜のお便りを差し上げます。

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■本日は、お時計の「針の夜光塗料の変化(エイジング)」についてお話しいたします。

お時計の針や文字盤に施されている、暗所で光る「夜光塗料」は、年月が経つにつれて、
白色や薄緑色から、アイボリーまたは、キツネ色へと変化することがございます。

おおよそ30年以上前に製造されたお時計によく見られるこの変化でございますが、
これを時計愛好家の方々は、単に劣化と呼ばず「味わい」や「焼け」として、評価されるそうです。
しかし、夜光塗料の経年変化が進むと、塗料が乾燥してひび割れが生じ、剥がれ落ちることがございます。
この欠片が文字盤の小窓(カレンダー部分など)から内部機械に入り込みますと、
お察しのとおり歯車の動きを妨げ、遅れ方向の誤差や、動作停止の原因となる次第です。
そのため私どもでは、お預かりした際に夜光塗料の状態をしっかりと拝見いたしまして、
剥がれ落ちそうなヒビ割れなどが見受けられる場合は、補強や塗り直しをご提案させていただきます。
歴史を刻んだヴィンテージ、アンティークの表情を残すのか、あるいは新品のような輝きを取り戻すのか、
これには正解がなく、お気持ちの部分が大きいため、弊社ではお客様のご意見を尊重しております。

お時計の針をご覧になり、夜光の変化やひび割れが気になるようでしたら、お気軽にご相談ください。
針の夜光の塗り直しは、モデルや構造にもよりますが、8,000円から15,000円前後にてご提案しており、
作業には、おおよそ2週間前後お時間をいただいております。
文字盤の夜光に関しては、実施することが困難でございます。
恐れ入りますが、ご理解のほどお願い申し上げます。
以上でございます。

最後までご覧くださり、誠にありがとうございました。

【近藤のひとこと】
夜光塗料は時代と共に変化してまいりました。
1960年頃までは、ラジウムと呼ぶ放射線物質を含んだ塗料が使用されており、
光を当てなくても光を放ち続ける…という画期的なものでしたが、
人体への影響が問題視され、現在では使用されておりません。
1990年頃までは、ラジウムに代わり採用された安全性の高い塗料がトリチウムでございます。
先ほど申し上げましたアイボリーからキツネ色への美しい焼けは主にこのトリチウム夜光特有の現象です。
約15年で発行しなくなりますが、その絶妙なヴィンテージ感が評価されています。
現在では、日本の根本特殊化学社が発明したルミノバと呼ぶ、蓄光塗料が主流で
安全で半永久的に光る能力が失われません。
またトリチウムのように焼けることもほとんどないようです。

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真っ白だった針がキツネ色に変わるように、これから先の10年、20年で、
お時計はまた異なる姿を見せてくれると思います。
お客様の人生の深みと共に、お時計の変化も楽しみのひとつにしていただけますと幸いです。
季節の変わり目のため、お身体の調子を崩されませんよう、ご自愛ください。
また近藤より、お便りいたします。

時計修理工房 近藤

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