第391号:とどまる、ということ。

件名 :第391号:とどまる、ということ。

お客様、この頃、ご自身のなかに変化や、心の移ろいなどはございませんでしたか?

新しいことへの興味や、ご縁の拡がりはあり続けたいものでございますが、
それとは逆の向きで、広がらず留まってほしいものも存在します。
例えば、新い目標のために注ぎたい「時間」や「体力」、
あるいは、ひとつのことに向き合う「集中力」などもそうかも知れません。
ふと、気持ちが浮きそうになる春先ですが、目の前のことに集中しようとしている
修理工房の近藤より、今夜のお便りを差し上げます。

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■本日は、お時計内部の機械油の役割について、お話しをいたします。

機械式のお時計は、ときに100を超える小さな部品が噛み合い、時を刻みますが、
金属どうし擦れ合う箇所には、摩耗を防ぐため「潤滑油(グリス)」が添えられています。
この油(グリス)は、ただ注せば良いといものではなく、見落としがちな観点ですが、
「差した場所から流れず、いかに長く留まり続けるか」という点も重要です。
グリスが流れていく原因は「劣化による表面張力の低下」「温度変化による変質」
「部品が摩耗した鉄粉による汚れ」、「物理的な遠心力や衝撃」
そして「油の量が適量ではない」など、多様でございます。

お時計の内部は精密で、もし油が本来あるべき場所から飛び散ったり、流れて広がってしまいますと、
潤滑が必要な箇所が乾いてしまい、部品が摩耗したり、傷つく原因ともなります。
また、流れた油がヒゲゼンマイなどの別の部品に付着すると、
今度は「進み」や「止まり」といった新たな不具合を引き起こす場合もございます。
このような状態を改善するには、やはり分解洗浄、注油、調整などを総合的に行う、
オーバーホールと呼ばれる作業を推奨しております。
また、作業にあたる技術者は、オーバーホールの際、単純に古い油を洗浄して新しいものを注すだけでなく、
各所に合わせた処理や、グリスを使い分けることはもちろん、量に関しても顕微鏡を覗きながら調整しております。

お客様の大切なお時計が、5年、10年と正確に動き続けるために、
私たちは極小の世界で、油量の管理に努めております。
いまご愛用のお時計のゼンマイの持続時間が短い、動作に遅れ方向、進み方向の誤差があり頻繁に修正が必要。
このような症状がございましたら、お気軽にご相談ください。
以上でございます。
最後までご覧くださり、誠にありがとうございました。

【近藤のひとこと】
先ほど油を逃さない工夫について触れましたが、
そのために欠かせないのが、「エピラム処理」という工程でございます。
これは、部品の表面に特殊な被膜を作る処置のことで、油が広がらないように壁を作ります。
特に激しく動く「脱進機」と呼ぶ部分にはこの処理が欠かせません。
顕微鏡でしか見ることができない小さな世界の作業ですが、
この作業があるからこそ、油は数年間にわたって定位置で役割を果たし続けることができます。

▼国内新品のお時計を2割引で販売する取り組み。
※この試みは、いったん4月中に区切りまして、今後は「修理のご相談、ご依頼時」などに
機会をいただきたいと存じます。近日中に、改めてご報告させていただきます。


これまでお納めさせていただいたお時計は以下の通りでございます。
・IWC [ IWC358312 ] http://bit.ly/4apw6Qp( Google 検索 )
・パネライ [ PAM01087 ] https://bit.ly/4rhphGw( Google 検索 )
・SEIKO [ SDKV007 ] https://bit.ly/4kxm3fv ( Google 検索 )

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昔から言われておりますが、ひとの気力、集中力の土台にございますのは、
「体力」でして、その指標は案外ひとによってまちまち、まばらかと思います。
私たちは、ついつい気合いや根性で乗り切ろうとしてしまいますが、
これを補うアプローチも大切にしたいと思います。
たとえば、普段より2時間早めに眠る、という試みはいかがでしょう?
眠れなくても、労わろうとした事実が、ほかの行動に波及する気がします。
おせっかいなことを申し上げました。またお便りいたします。

時計修理工房 近藤

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