第53号:バックラッシュ(歯車の噛み合いのお話)

件名 :第53号:バックラッシュ
こんばんは、時計修理工房の近藤でございます。
今夜のお便りを差し上げます。


お客様、お時計の針の位置(時針、分針、秒針)が少しズレているように見えた事はございませんか。


アナログのお時計の楽しみの一つでもある針の動きは、文字盤に刻まれた目盛りを次々と指していき、
たゆむことなく回っていく秒針は、精密な機械の動きを一番身近に味わわせてくれるかと存じます。


そんな精密さの象徴のようなお時計の秒針でございますが、場合によりズレて表示されてしまいましたり、
ピタリと止まらず、ほんの少しブレた動きをすることがあります。


本日は、お時計に時より発生する【針ズレ】についてお話しを致します。


歯車と歯車の間には意図的に僅かな隙間が設けられておりこの隙間のことを【バックラッシュ】と言います。
この【バックラッシュ】こそが、針の運びに微妙なズレを生み出してしまう原因でございます。


針ズレの原因となる歯車と歯車の隙間を無くせられるのであれば、無くしてしまいたいものでありますが、
この隙間が無くなりますと、歯車の摩擦抵抗が大きくなり、歯車が円滑に回転しなくなってしまいます。


その他にもお時計に加わる衝撃を吸収する為、歯車の摩擦を減らし寿命を延ばす為、さらに細かく見れば、
温度変化によるの熱膨張した部品の微妙なズレを補う為など、様々な計算がされた設計となっております。


つきましては、バックラッシュは歯車の様々な面で不可欠な要素ですので、なくすことはできません。
しかし、部品の加工精度や組み上げ精度をさらに上げること、部品の材質を工夫することで、
人の目では判断できない程に、そのズレを小さくする事は可能かと存じます。


ただし、細密さを追求するにつれて、その構造が温度や重力、衝撃などの外部からの影響が過大する為、
取り扱いが難しいものになってしまいます。


バックラッシュは、お時計という精密機械に信頼性をもたらす解決策と言っても過言ではございません。


先ほど申し上げましたように、組み上げの精度で針ズレを緩和することが可能な場合がございますので、
12時位置がズレている場合や、時針と分針の位置が合っていないなどの不具合でお困りの場合は、
是非一度検査をさせて頂きたく存じます。


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9月でございます為、暑さが少しづつ和らいでくる頃かと存じますが、如何お過ごしでしょうか。
高温多湿の状況が続きますと体調が優れなくなる場合もございます為、ご無理をなさらずご自愛ください。


時計修理工房 近藤

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