第343号:左利きと腕時計のお話です。

件名 :第343号 :左利きと腕時計のお話です。
お客様は、右利きでいらっしゃいますか?

世界の人口の「およそ9割」が右利きだそうです。
例えばハサミ、マウス、改札機、自動販売機のボタンの配置など、
日常のほとんどの道具が「右利き」に自然な形で設計されているのではないでしょうか。
「左利き」の人は、ご幼少の頃から「右手で持ってごらん」と言われるなど、苦労した経験があると存じます。
それは決して「右が正しい」からではなく、単に多い方に合わせようとしている印象です。
多数派の無自覚な便利さの裏で、少数派が自覚しながら適応する構造も、現代社会のひとつの姿と考えております。

もともと「右利き」ですが「左利き」に憧れて、左手で書く練習をしたことがある、修理工房の近藤でございます。

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■本日の話題は「腕時計が左手に着けられることが多い理由」でございます。
私たちがなんとなく「腕時計は左手につけるもの」と思っている背景には、合理的かつ歴史的な経緯がございます。
右手に着けてはいけないというルールはございませんが、なぜ「左手」が一般的なのでしょうか。
まず最も大きな理由は冒頭でも触れました「右利きの問題」です。

世界人口の約9割は右利きとされており、文字を書いたり、物を持ったりと、日常的に右手を頻繁に使います。
もし右手に時計をつけていたら、字を書くときに邪魔になったり、時計自体を傷つけるリスクがございます。
また、腕時計の多くには「リューズ」と呼ばれる小さな突起が右側(3時方向)についています。
これは時刻合わせやゼンマイの巻き上げに使用する重要なパーツで、右手で操作しやすい設計です。
この習慣は軍用時計の歴史とも深く関わっています。

第一次世界大戦の頃から兵士たちが懐中時計ではなく、腕時計を使うようになったとされていますが、
その際もやはり右手で銃を構え、左手で時間を確認する方が便利だったようです。
また、戦場で素早く時間を確認する必要があったため、左手に時計を装着するのが一般的となり、
その流れが民間にも広まっていったとされています。

リューズが右側についている設計は、右手で操作することを前提とされています。
左手に装着することで、腕から外すことなくそのまま時間の調整や日付の設定ができるのです。
(リューズに斜め方向からの負荷がかかることがございますので、弊社はおすすめしておりません)
もし右手に装着してしまうと、リューズは手首の内側にきてしまい、少し扱いにくくなります。
近年では、「左利き用」の時計も存在し、リューズが左側についているモデルも製造されています。
しかし数は少なく、基本設計はやはり右手装着を前提にしています。

アップルウォッチなどのスマートウォッチでも、最初の設定画面で装着する腕を聞かれるのは、
左右で使いやすさが大きく変わるからと考えます。
センサーやボタンの位置は左手に合わせて最適化されているため、
やはり多くの人が左手につけるように設定されているというのが見て分かります。
腕時計の装着方法に正解はなく、どちらの腕に着けるべきかはあくまで個人のライフスタイルや、
身体の使い方によるものでございます。

周りが左派だからといって無理に合わせる必要はありませんし、
むしろ、自分にとって使いやすく、心地よく感じられるスタイルこそが正解かと存じます。
腕時計は、時間を知るための道具であると同時に、個性を映し出すアクセサリーでもあります。
弊社はリューズの修理も承ることが可能でございますので、今後破損や、ねじ込み不良、
操作が重いなどの症状が現れた場合は、お気軽にご相談ください。
以上でございます。
最後までご覧くださり、誠にありがとうございました。


【近藤のひとこと】
脳には左右の半球があり、それそれが身体の反対側を司どっています。
たとえば、言語や論理をつかさどる左脳は、右手をコントロールしています。
この左右のバランスや、遺伝、経験によって、どちらの手をよく使うか決まってくるのです。
生まれた瞬間に完全に決まっているわけではなく、幼少期の習慣や環境も大きな影響を与えます。
そのため、訓練すれば、反対の手もある程度使えるようになると存じます。
これは両利きと言いますが、実は完全な両利きはごく少数で、
多くの場合は、箸は右、野球は左など部分的な両利きが多い印象です。


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最後に、10人にひとりの「左利き」のお客様にご紹介したいお店がございます。
岐阜県各務原市(かかみがはらし)に「左利きの道具店」という、その名の通りの品揃えです。
https://hidari-kiki.jp/ (ほぼすべてのお品が通販でお求めになれます。)
文房具、キッチン用品、ファッションや子供用のお品までございますので、
ホームページだけでもご覧ください。贈り物にも良いかと存じます。
季節の変わり目、どうぞご自愛ください。


時計修理工房 近藤

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